「富岳」で換気計算

新型コロナウイルス感染症対策に換気は大切だが、夏は熱中症も心配でなるべくエアコンの冷気は逃したくない。理化学研究所などのチームがスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」を使い、冷房をつけた教室の換気をシミュレーションしたところ、対角線上の窓と扉だけを開ければ十分な効果が得られることがわかった。

チームは、児童40人が座った8メートル四方の教室を想定。エアコンをつけた時に、どのように窓や廊下側の扉、欄間を開けたら効果的に換気ができるかを調べた。

教室後ろの窓だけを20センチと廊下側の前の扉を20センチ、対角に開けた場合は、室内の空気が入れ替わるのにかかった時間は500秒程度だった。

一方、全ての窓を20センチずつと、廊下側の欄間を開けた場合、全ての窓を20センチずつと廊下側の前後の扉40センチずつを開けた場合は、100秒程度だった。

窓と扉を対角に開けた条件は、窓が開いている面積が小さいため、換気に時間がかかったが、1時間あたりの換気量は1190立方メートルと計算された。

これは、1人あたりの換気量でみれば、法令などで決められた一般的なオフィスの換気条件と同じレベルに達するという。チームは夏や冬など、冷暖房の効率を考えると、対角の窓開けが十分有効だとした。

理研チームリーダーで、神戸大学の坪倉誠教授は、「対角に開けることで、部屋を冷やしつつ、外の空気もある程度取り入れられる。さらに感染リスクを下げるのであれば、休憩時間に窓を全開にするといった対策を併用するのが良いのではないか」と話した。

朝日新聞