深刻な空き家対策

記録的な大雪となっている秋田県内では、積雪により複数の空き家が倒壊している。横手市でも空き家は増える一方で、空き家を出さない、空き家を老朽化させない仕組みづくりが急がれている。 
 トタン屋根が崩れ落ちた建物。

 横手市増田町で7年以上空き家となっているこの建物は、1月24日に雪の重みで半壊した。

 崩れ落ちた木材などは隣接する土地にも影響を与え、その一部は隣の家の外壁にもたれかかっている。

 横手市役所にある「くらしの相談係」には、市民から「隣が空き家で危ないので雪下ろしをしてほしい」「空き家からの落雪で自宅の窓ガラスが割れた」などといった相談が、この冬だけで100件以上寄せられている。

 空き家は個人の財産であるため、市の担当者は現地で状況を確認したあと、所有者に文書で雪下ろしや除雪など適切な管理をするよう指導・助言する。

 横手市くらしの相談係の月沢毅係長は「通知すると半分くらいは反応があり電話などで連絡が来る。しかし今シーズンは空き家の所有者が雪下ろしを頼もうにも業者の方で予約がいっぱいで断られる」と説明する。

 横手市では、市内で37軒の空き家が全半壊した2011年の豪雪を契機に、空き家問題の解決に力を入れてきた。

 市は老朽化で危険と判断した空き家について、所有者に建物の撤去費用を一部補助するなどし、この10年間で危険性が高かった106軒の空き家の撤去につながった。

 月沢係長は「目につくような危険な空き家については除却できたのかなと。しかし放置されている空き家はだんだんと危険になってくる。空き家にさせない、老朽化して危険な空き家にさせない取り組みが必要」と今後の課題を挙げる。

 横手市内でこの冬、全壊または半壊が確認された空き家は7軒。しかし、人口減少に伴い空き家は年々増え続けていて2020年9月時点の市内の空き家は1807軒と5年前より27軒増えている。

 市では2021年度、新たに第2期空家等対策計画を策定し、空き家の「予防」「適正な管理」「利活用」を3つの柱として、引き続き空き家の問題に取り組んでいく。

 月沢係長は「所有者としての責任をきちんと取ってもらい管理してもらう。自分で利用しないなら他人に譲るなど、空き家の流通を促進する利活用も進めていきたい」と話していた。

 周辺の住民に危険を及ぼす可能性のある空き家。市では、民間と連携したワンストップの相談窓口の設置なども検討していて、空き家の利活用が進む仕組みづくりを急いでいる。

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